ちょー小咄
with everybody



「おい、お前ら」

スマートが半眼であきれたように言った。
「やる気あんのか、ねぇのかハッキリしろよ」
「あるに決まってるじゃない!」
反射的オパールが叫んで、周囲にいたオニキス、サファイアもそうだそうだと声をあげた。
「スマートこそ、やる気あるってワケ?」
「・・・・・・なんか腹立ってきたぞ。そっちから頼んできたんだろ? 口の減らないガキども」



4,5日前から、オニキスはじめとする三つ子たちと宝珠は、スマートに授業をしてもらっていた。
が、しばらく順調に進んだかと思うと、すぐこれだ。騒ぎにならないほうが珍しかった。

森の中は、気持ちがいい。絶えず小鳥の声がしているし
お日様の光も邪魔にならないぐらいに天からそそいでいる。
宝珠は4人の騒ぎを気にも留めずに、手に持った紙に視線を落とす。
そこには、音符と呼ばれるものが散らばっていた。

(これが音楽になるだなんて、信じられない)
宝珠はそれを見るたびにほっと感嘆のため息をつく。
(早く全部読めるようになりたいのにな。まったく、皆ってば)
――――眼前では、相変らずすったもんだの騒動が続いている。


「クリスマスに、いつもお世話になってる人たちにに歌をプレゼントしよう!」と言い出したのはオパールだ。
オニキスは嫌そうな顔をしていたが、サファイアはやってもいいとクールに言っていた。
宝珠はひとり不安だったが
オパールの「みんなでやれば、ううん、みんなでやるからこそ出来るの!」という声に励まされ
こうして練習をしに来ているのであった。

「ねぇ。早くやろうよ。時間がもったいないよ」
宝珠は力なく告げた。我ながら説得力がないとは思うが、
いかんせんこの人たちには何を言っても通用しないのが分かっていたから、
とりあえず何か言ってみるしかなかった。


「みんなでやらないと、出来るものも出来ないよ」
放たれた声はけっして大きくなかったが、その声にぴたりと4人が静止する。

(やべぇ・・・宝珠、怒ってる)
そう思ったのはオニキスで。
(確かに、一理ある)
そう考えたのはサファイアで。
(その言葉、あたしが言ったのの裏返しよね)
と胸をおさえたのはオパールで。

「「「ごめん、スマート」」」
3人の声が見事に重なった。
めんくらったのは、スマートだけでなく宝珠も。
「お・・・おう。分かればいいさ」
スマートはそう言って授業に戻っていったが、宝珠はしばらく、内容が頭に入らなかった。

「みんなで」という行為がくすぐったくて、嬉しくて。
その目標が、とても崇高なことに思えて。

「楽しいね」
宝珠は言った。

心から、言った。


クリスマスは、目の前だ。




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